たまいど。- 特殊性癖趣味の絵と小説 -

一.友美  私たちがそこを使うのは何回目だったか。廃業したホテルの一室、当然閉鎖されているのだけど、私の親族のツテでちょっと合鍵を拝借して潜り込んでいるのだった。私達―私と真由子と静流(しずる)と布由(ふゆ)の4人―がそこで何をしてるのかといえば、年頃の女の子たちが話題にするような、クラスのどの男子がカッコいいだとか、どの先輩が誰とつきあっているらしいとか、数学の教師がムカつくだとかそんな他愛もないようなことをダラダラと喋ってみたり、恋愛運や将来のことを占ってみたり、そして―今思えばやめておけばよかったと思うんだけど―、誰かを呪ってみたり。  それは静流が持ってきた一冊の古びた本だった。中世のヨーロッパで書かれたというふれこみの、呪いの本。西洋の呪いってどういうのだっけ。よくわからないけど、藁人形に釘を打つのではないことだけは確か。ま、そのへんはどうでもよくて、私達にしてみれば、そういう雰囲気があればよかっただけ。もちろん中世ヨーロッパで書かれた本なんてものが、私達に読めるわけはないのだけれど、それは要所要所に日本語で翻訳した対訳がメモとしてついていたのだ。  で、なんでそんな本を静流が持ってきたのかといえば、先週、告った男子にフられてしまったらしい。そしてその彼は静流とは小学校のころからの昔なじみの子と実はつきあっているみたい。そんなことおくびにも出さなかったし、私との相談にものってくれてたのに実は彼とつきあってたなんて、陰で私のことを笑ってたに違いない!(静流談)・・・と、まあ、嫉妬の炎に燃えてそんな本を持ってきたわけね。  あんな奴、どっかで知らない男達にレイプされてぐちゃぐちゃにされちゃえばいいのよ!(静流談)要はそういう風に呪ってやるということで、今日私たちは静流の呪いの儀式の真似ごとにつきあってるのだった。別に呪いとか、そんなものはたいして信じてないけど、そういうオカルトチックなものはみんなまんざら嫌いでもないものね。古書の中の翻訳メモに書いてある内容に従って、3人で試行錯誤(布由はバカバカしいというので見てただけ)。結構細かく書かれているけど、よくわからないことは適当に端折りながら。あと、呪って具体的にどうしたいのか、参考にするためなのか静流は一緒になんだかあやしいエロ本を何冊か持ってきた。まったくそんなものどこから調達してのよっていう。恐るべし乙女の嫉妬。パラパラと見てみると、服をひんむかれて何人もの男に囲まれて犯されているシーンとか、頭をつかまれて無理やりアレをさせられてるシーンとか、そんな写真ばかりの雑誌。あと1冊、なにかイヤラシいグッズのカタログみたいなのも混ざってたみたいだけど、それはよく見なかったわ。  結局、呪いの模様を描いたり、印をきったり、呪文を唱えてみたりして、小一時間ほど呪いの儀式の真似ごとを続けてみたけど、そろそろお腹もすいてきたので休憩しようということで、私たちはその場を離れて、持ち寄ったお菓子を食べながら、昨日のお笑い番組の話しなんかをして楽しんでいた。結局、呪いとかいっても、ちょっとムカツイたのでその気晴らし、って程度なわけだし。  じゃあ、今日はこのぐらいにして帰ろうか、となったので、呪い道具一式を片付けるために部屋に戻ってくると。  (学校の美術室から失敬してきた)わら半紙に描かれた魔方陣と(停電用に家に常備されたのを持ちだしてきた)蝋燭の灯りの向こう側、薄暗い部屋の隅の方に誰か立っている。  ええっ!?ここはしばらく前に営業停止して使われてないホテルの一室だし、入ってきた時に部屋の鍵は中からかけてるはず・・・。ひょっとして合鍵を持っている管財人とか警備の人かしら?でも誰も入ってきたような気配はしなかったのに。 「あの・・・」  小声で声をかけてみるけど、返事はない。  よく見るとその男(たぶん男だと思う・・・)は服を着ていないようにも見える。だけど部屋の明るさからいっても、その男の周りだけがやけに暗い。というか男そのものが黒いような気がする。薄気味悪いのでみんなでそこから離れようとして後ろを振り向くと!何もない!いや、正しくはよく見えない黒っぽい壁のようなものが立ちはだかっていて今までいた部屋が無くなっている・・・。  私たち4人とその黒い男だけが蝋燭の灯りをはさんで薄暗い空間で向かい合っている状況。いったい何が起きたのか。察しはつくけど、そんな馬鹿な、という思いが私の頭でうずまく。 「静流ちゃん、これって・・・」  そう言って静流のほうを見ると、静流も同じ事を考えているらしくこちらを見返す。どうやら呪いが不完全に発動してしまったみたい。これってヤバいよね。うん、こういう場合って大抵ヤバい。静流と目で会話してうなずきあう。真由子は動転して床に座り込んじゃってるし、布由はずっと後ろのほうですくんでしまっているみたい。  黒い男のような塊がこちらの方を見る―見れば見るほど輪郭がぼやけてきてよく見えないのだけど、見られているという圧力を強く感じる、  急にその闇が私の目の前にせまる―目の前に来ても実体があるのか無いのかわからない。黒すぎて見えないので逆に何かが存在しているように感じる―と、私は急に体の自由が効かなくなった。 「な・・・何を・・・、んぐっ」  どこまで声が出たのかもわからない。力が抜けてがっくりと床にヒザをついてしまい、目の前に突き出されたその男の黒いペニス―としか思えないもの―が私の口の中に侵入してきた。  こんなこといやっ!真由子!布由!助けて!静流!何とかして!  体は指一本動かせず、口の中いっぱいに黒いペニスを挿入されてしまっている状況。目だけキョロキョロ動かしても見えるのは目の前の黒い男・・・いや、真っ暗な闇夜を見ているみたいに、距離感の無い黒しか視界に入らない。そんな中で口に入れられたペニスだけは、しっかりと実体を持って私の口を犯している。頭を後ろから掴まれたような感じがしてグッと前に押し付けられる。顔が黒い男の中に埋もれるようなねっとりとした感触を伝え、ペニスがさらに喉の奥深くへ入ってくる。  顔も体もまったく動かせないのに、ペニスをふくんだ口の中だけが私の意志と関係なくペニスを愛撫するよう動く。  いやだ・・・やめて!何でこんなことに!静流ちゃんの付き合いで、冗談半分でやっただけなのに!  真っ暗な視界で、体の感覚も無い中でペニスが入れられている口とそれに続く喉だけが、私に感覚をもたらしている。ペニスを包む口と喉だけになってしまったような感覚。そのペニスが、さらに奥へ、ありえないような長さに伸びてきて私の胃へ、そして毛細血管のように体じゅうに伸びてくるような感覚が襲いかかってくる。  何?・・・体の中のあちこちに入ってきている感じがする・・・!き・・・気持ち悪い・・・  さらに手足の先に向かって伸びたペニスの先端が、私の中身を吸い上げているような感覚。チューブに入った液体をストローで吸い上げていると言えばいいのだろうか。でも吸われているのは私の体そのもの、そんな感じ。もとより体の外側の感覚は一切なくなっているのだけど、ペニスに犯されているところだけは、内部の感覚があるような気がする。だからズルズルと飲み込まれ続けていくような感覚だけが私の全ての感覚になっている。それが徐々に末端から吸われ続けて、どんどん体の芯の方へ、手から肘へ肩へ、足から膝へそして足の付け根へと無くなっていっている。まるで私自身がペニスに吸われているみたい。  それでも口だけは―私の意志とは関係ないみたいに―含んだペニスを愛おしそうにフェラチオしている。まるで少しでも早く自分自身を吸い込んでほしいみたいに。私の感覚はもう口から喉のあたりまでしかない。感覚のなくなった部分がどうなっているかは見ることができないのでわからない。でも私の意識の中では、もう私はペニスを愛おしそうにくわえ込んでいる首と喉の部分が袋のようにくっついただけの存在になっている。まるで自分自身を吸い込むペニスに奉仕し続けるおもちゃのように。  やがて、喉の感覚もなくなり口中だけとなり、私の頭は、内部から中身をすべてペニスに吸われるようにしぼみ続けて、唇だけがペニスにリングのように残されて、それさえもやがてペニスの中に消えて、私はすべて吸い込まれてしまうのだろうか。  わからない・・・もう、頭がまわらない。私はどうなってしまったのだろう。 二.真由子  な、な、な、な。何が、いったいどうしたっていうのよ!?  みんなでダベるつもりの午後のお茶会で、静流が、ちょっと呪うとか言って、変なことやりだしたら、変なふうになって、変な真っ黒い男が出てきて、そしたらそしたら、友美ちゃんがっ! 「し、し、し、静流!?何なのよ!?どうなってるのよ!?」  静流は私の前に立ったままさっきから動かない。私も床にへたり込んでしまって、足がすくんで動けない。 「これは・・・よくないわ。すごく、よくない」  静流がボソりと言う。 「そんなこと、わかってるわよ!だから何とかしてよ!」 「無理ね。なにかの手順を間違えてしまったのかもしれない。あるいは歪んで伝わってしまったのかも。私には原文を読めるだけの知識はないから、いったいどこが間違ったのかもわからないわ」 「無理って!!わけわかんないこと言ってないで、友美ちゃんが!友美ちゃんが!!」  黒い男の前にひざまずくような姿勢になっている友美はさっきから、その・・・男のナニを咥えさせられているみたいなんだけど、何故かどんどん手足が縮んでしまって、今ではすっかり頭と胴体だけになってしまった。私の目はどうかしちゃったんだろうか。 「友美ちゃん!何やってるの!はやくその男から離れて!!」  友美は聞こえていないのか、まったく動く気配がない。いや、よく見ると口元だけ、その、ぎゅうぎゅうと吸っているような感じに見える。そうやって見ているさきから、友美の体はどんどん細くなり短くなっていく。まるで内部から体の中身を吸い出されているかのように。 「逃げようよ!早く!」  そう言っても、静流は黒い影のような男と、どんどん縮み続ける友美の方を睨んだまま動こうとしない。 「どうしよう!どうしよう!?ああっ!?」  黒い男のアレを咥えてる友美ちゃんは、もう頭だけになってしまっていた。頭だけが・・・その、男の股間のところにあって・・・。ああ、それだけじゃない、頭までもどんどん萎んでいく。友美ちゃんの頭は風船の空気が抜けるみたいに萎んで小さくなっていく・・・。何てこと!やっぱり、あの黒い男のおちんちんに吸い込まれているんだ!そんな!?  すっかり中身を吸われてしまった友美ちゃんの頭は、その性器に皮一枚で貼りついたような姿になり、やがてそれもずるずると吸い込まれて消えていってしまった。 「そんな・・・そんなことって・・・」  私たちの見ている前で友美ちゃんは目の前の黒い男の性器に全部吸われて消えてしまった。  このままでは、ダメだ。力をふりしぼって立ち上がり、逃げようとする。とりあえず、どこかへ。少しでも、離れたい。と、3歩も歩かないうちに目の前にあの黒い影が。私は、また力が抜けてしまい床にへたり込む。 「いやーっ。こないで!」  顔をそむけ、目の前の男を手で押しのけた。つもりだったけど、その男に触れた手はぺったりと張り付くような感触を伝えるだけで、男は微動だにしない。裸なのか、何かを着ているのかわからないのに、触れた感触がとてもイヤなものだってことだけは分かる。頭を何かに掴まれた感触がして、私の顔はぐいっと影の方に引き寄せられた。  目の前に黒い男の性器がせまり、私の顔に押し付けられる。真っ黒なそれの先から白いドロリとしたものがにじんできたと思ったら、私の顔にビシャっと放出された。  たった今、友美が飲み込まれてしまった穴から吐き出されたその液体は、いわゆる、その・・・精液に違いない。じゃあ、中に飲み込まれてしまった友美はどうなってしまったのだろう。顔から滴り落ちた、その白い液体の中に、見覚えのある色の髪の毛がいくつか混じっていた。でもすぐにそれは、溶けて白い液体と一体化してしまった。  そんな・・・、そんなことって!?  黒く張りつめたような性器は私の口の中に無理やり入ってきて、その液体が、今度は喉の奥めがけてドクンドクンと流し込まれる。まさか、この気持ちの悪いドロドロした液体が、さっきまで一緒にいた友美なのだろうか?そんなこと、そんなことありえない。でも、じゃあ、あの黒い男の性器の中に消えてしまった友美はどこにいってしまったの?いやだ、いやだ、もう、こんなのいやだ、考えたくない。  男が私の両腕をつかんでひっぱり上げる。抵抗する気力も失せた私は、ぐったりとなすがままだ。男の真っ黒な視線が私を突き刺すように睨んでいる気がする。真っ黒い顔から、もっと真っ黒な光が出ているようなそんな感じがして、私の中の何かを奪い取っていくように。  掴まれた両腕と両足の先から感覚が失われていく。なんだかだんだん体が軽くなってきたみたいだ。そして不思議なことにイヤな気持ちも徐々に薄れてきて、目の前にいる男のことも怖くはなくなってきたみたい。いったい私はどうなっているんだろう。動けないので見ることはできないけど、こんなことだったら早くこうすればよかったのかも。私の中が空っぽで空気で満たされているような気分だけど、なんだか気持ちがいい。今、私の顔に押し付けられたのは、きっとあの黒い性器だろう。さっきまであんなにイヤだったのに、今ではなんとも思わない。ううん、むしろ、愛おしい。私の中に入れて欲しい。その気持が通じたのか、白い液体でべっとりと濡れた真っ黒なそれが私の口の中に入ってこようとする。  ギュッ、ギュ、ギュ、ミチッ。  あれ、私のお口ってこんな音がするんだっけ。もう、よくわからないけど、黒い張りつめた肉棒が私の口の中を満たしていくことはわかる。でもお口を開けることも閉じることも舌を動かすこともできない。私の顔に空いている穴は、なされがままに肉棒に押し拡げられ貫かれる。そのまま、奥へ奥へ、体の真ん中近くまで挿入された性器がビクビクっと脈うつのを感じる。ああ!射精されるんだ。空っぽになった私の中めがけて、友美だった精液が射精される。  ビュクッ!ビシャッ!  精液が放出される音が空っぽの私の中で反響して、そんな音がしたような気がする。そして私の中がとても暖かく満たされる。こんな気持ちなら、もう、ずっと、こうやって精液を出されるだけの袋になっていてもいい。ペニスを包んでいる感覚だけに満たされながら、私の意識は、そう最後に思った。 三.静流  こんなことが本当にあるものなのね。たしかに私が持ってきた本は、本物の古書だったし、呪いの儀式もかなり端折った上に、材料も適当な有り合わせで済ませてしまったけれど、デタラメをやったわけではないのよね。アレはいったい何が召喚されてしまったのだろう。かなり下等な部類のものらしいけど、それだけに話しが通じそうにないし厄介そうよね。  うーん、いったいどうすればいいのかしら・・・。まさに絶体絶命よ。普通ならこんなこと、夢を見てるに違いないのだけど、妙にリアルというか、いえ、ありえないと言えばこんなにありえないことはないわね。  私の目の前で、友美は黒い影のような人型に吸い込まれてしまった。それも男性器のようなものを咥えながら、それに吸い取られるようにして少しずつ、ズルリ、ズルリと萎みながら、最後には何も残さずにその中に消えていってしまった。そして・・・吸い込まれて消えた友美は、あろうことか、精液に変えられてしまった・・・らしい。黒い影の性器から吐き出された白いドロドロした液体、それがさっきまで一緒にいた友達だなんて信じられるかしら。  でも、信じられないというなら、今、すぐそこで起きていることは―真由子は何とか逃げようとしたみたいだけど、逃げられるわけもなく―、まさにそんなことはありえない。両腕をつかまれて、持ち上げられるような姿勢でぐったりとしていた真由子は、その手は指が癒着するように消えてなくなり、肌が妙にツルツルとして人間とは思えないような質感に変わっていった。足の方も同じように単純な形状の、空気で膨らまされた人形のようになってしまった。重みがないかのように抱え上げられた真由子は、黒いその性器を、顔の中心―つまり口のことね―の穴に入れられても無反応にされるがままになっている。あえてこんな言い方をしたのは、もう、口で咥えているっていう表現ができるのかどうか、真由子の顔は、というか頭全体が、人間のそれではなくなっているように見えるから。手足と同じようにツルツルのとした質感の、空気で膨らませた小さなビーチボールのよう。そこに真由子っぽい目や髪がプリントされているようにしかみえない。そして口のかわりにぽっかり空いた穴、つまり、そこに黒い性器が挿入されている様子、それはまるでダッチワイフがフェラチオをしている姿のよう。 「ま、真由子?」  声をかけてみる。でも、予想どおり何の返事もない。濡れた性器が、真由子の面影をかろうじて残した空気人形の中で擦れあっている、ギュギュッ、ズチュッ、ジュポッ、という音だけが還ってくる。人間らしい息づかいも何もない。そしてダッチワイフにされた―としか思えない―真由子の口からズルッと引きぬかれた性器から、白く濁った半透明の精液がさらに垂れ流てきて、人形の表面をドロリと流れ落ちる。その流れ落ちる精液は、友美、なのだろうか。  夢ならば、どうすれば覚めるだろうか。でも、夢じゃなかったら?次は私か、布由が狙われる・・・。布由は?少し離れたところで両手をぎゅっと握り締めるようにして立ちすくんでいる。彼女はあまり気乗りしないというので、この呪いごっこには参加しなかったんだけど、巻き込んでしまったみたい。もし、儀式を行った者だけがペナルティを受ければいいのであれば、私がそれを受ければ布由は無事にすむかもしれない。あるいは終わってしまえば、何事もなかったように友美や真由子も元に戻れるかも・・・。こんなことになってしまった、そもそもの発端は私なんだから、私がなんとかしないと。大丈夫、気をしっかりもって立ち向かえば、なんとかなるに違いない。自分を見失わないように、しっかりと、しっかりと・・・。  そう考えている刹那、足元から黒いヌルリとしたものが這い上がってくる!え!?何これ、さっきまでと違う!?黒い影が人の形をしているが故に、人間のような動作しかしないという思い込みがあった。  足が黒い影に覆われて動くことができない。その黒い影から伸び上がるように、私の目の前に覆いかぶさるような人型があらわれる。両脇からも身動きできないように抑えつけられ、もう自由に動くことができない。だめだ、落ち着け、落ち着け・・・。  足を拘束している影が動き、ぐいっと私の足を持ち上げ左右に押し広げる。私は膝を曲げて抱きかかえられるような姿勢で、足を開かされている。そして、私の前にいる黒い影からは大きなペニスがむくりむくりと立ち上がって私の股間にあてがわれる。  耐えて・・・、耐えるのよ。あきらめさえしなければ大丈夫!私はそう念じて、次にくるだろう辱めに備えて身を固くする。  でも、私の予想は裏切られた。その黒い影の頭の部分が目の前にせまったかと思うと何かが伸びてきて私の口の中に侵入してきた。口のなかを舐め回すように動きまわったそれは、口いっぱいに膨らんだような気がすると、喉の奥へ生暖かい液体を放出した。 「うぐっ!・・・っ!」 吐き出すこともできず、出された精液は私の体内に流れこんでくる。足と口から挟み込まれ中に浮いたような形で固まっている私。どうにもならない、それでも耐えるしかない状況には変わらない。上下左右から拘束され、そして前からは今にも私の中に入ってこようとする黒い大きなペニス。そして、さらに。  っ!!まったく意識せず何の心構えもなかった後ろからも、私のお尻の穴に侵入してこようとするものがある。  口を塞がれ続けているので声が出ない。  細い棒のようなものがスルリと私のお尻の穴に入ってくる。と、急激にぼこりと膨らんで、肛門が裂けそうなくらいに押し広げられる。 「っ!っ!っっ!!」  肛門の中を、容赦なく侵入してくる。そして。  どぷっ。お尻の穴の中、そんなところに精液が、友美だった液体が射精される。  そして何度も何度も腸の中に射精され、私の肛門は繰り返し繰り返し犯され続ける。  どれだけの時間、喉と直腸を犯され続け、射精されつづけたのか、朦朧とした意識の中で、私は何のために耐え続けているのか、忘れそうになるのを必死にこらえ続けてきた。大丈夫、意志さえくじけなければきっと耐えられる。そしていつかは終わるはず。  しかし、私のその思いはあっさりと、物理的に壊される。  口の中に入っていた黒い影からにゅるりと2本の細い管のようなものが伸びたかと思うと、そのまま耳の穴にずるりと入っていく。 「!?」  鼓膜を突き破り柔らかな部分を突き抜けて、大脳に達したそれは、脳の中に勢い良く精液を放出した。  あ・・・あ・・・精液・・・精液・・・私の中が精液で充たされていく・・・。私の心は、脳みそに射精された精液で、簡単に、徹底的に犯されてしまった。  溢れでた精液の中に浮かぶ脳みそ。表面からも精液が浸透し、ふやけたそれは、もはや何の思考も行わない精液の沁み込んだスポンジでしかない。思考は停止し、残されたのは性欲を追求する動物としての機能だけ。  股間をまさぐる黒い性器に刺激された私の体は、本能にしたがって腰を振りはじめる。女性器から分泌された愛液でびちょびちょに濡れた黒い性器が、その中に挿入されると、さらに激しく自ら腰を振り、快楽を求める性欲だけに支配された肉の塊になり果てた。人の心を失ってしまったその行為は、子宮口に密着した性器から白濁した精液が、子宮へ注ぎ込まれるまで続いた。 四.布由  すごい。自分の目が信じられないくらいの結果ね。友美と真由子と静流の3人が行った呪いの儀式は、結局その本人たちにこの世のものとも思えないような災厄(?)を、現在進行形でもたらし続けている。もともと静流が、恋のトラブルで友達にちょっと仕返しをしてやりたいって言ってたのを、じゃあ呪いをかけてやろうってそれとなく誘導したのは私だし。密かに霊験あらたかな呪いの古書が彼女の手に渡るよう細工したのも私。さらに儀式の手順の翻訳メモを書いてつけておいたのも私なんだから。書かれている内容が何を行うためのものかなんて静流も誰も、理解してなかったに違いないわ。始めから詠唱した本人たちに振りかかるようになっていたのにね。ほんと、バカ。  なんでこんなことをしたかって、3人とも初めは友達だと思っていたけど、私を使い走りにしたり、性格のことでからかわれたり、試験の前だけ調子よくおだてて利用したり、とにかく、私こそ仕返しがしてやりたかっただけ。もちろん私だってわきまえてるから、そんな致命的なことはしたりしない。こんな淫乱なことを呪いの内容にしてたってことは想定外だけど・・・。私の書いた手順どおりなら、ほんの一刻程度、おもに幻覚や幻聴なんかの精神的な混乱におちいるだけで、それも時間がたってしまえば元通り癒えてしまう、というレベルの呪い。のはずなんだけど。  私がどこかで何か間違えたのか、それとも彼女たちが儀式をメモどおり行わず、ありえない確率でより高位の結果を招いてしまったのか。いずれにせよ、今目の前で展開している光景が、私の意図していたものではないことだけは確かね。  だってどう見たって、物理的に、というか超物理的に効いているじゃない。友美は召喚した魔に(多分、淫魔でしょうね)吸い込まれて精液にされてしまった。真由子は魂を抜かれた皮だけの人形のようにされて弄ばれている。あれはダッチワイフがモチーフなのでしょうね。静流は拘束され宙吊りにされた状態で前後から、淫魔に嬲られているけど、まだなんとか耐えているみたい。いつまで耐えられるかしら。  想定外とはいえ、3人が自分たちの呪いでどうなろうと構いはしないのだけど、この空間に私まで囚われているということは、特定の人間が対象なのではなくて、この場所にいた人間全てに呪いが降りかかるということなのかもしれない。それはちょっと、冗談ではないわね。今のうちになんとか対策を考えないと・・・。もはや何が間違ってしまったのかよりも、ここから脱出すること、もしくは淫魔に帰ってもらう方法を探すしかない。幸い、呪いの本は即席魔方陣のそばに開いたまま置かれているし、淫魔が静流を捕らえている間になんとかして調べてみるしかない。  が、本を手にした瞬間、唖然としてしまった。開いたページにべったりと精液が染みついている。それだけなら我慢してページを繰るのだけど、精液が付着したところから真っ黒に変色して、書かれている内容が読めなくなってしまっている。 「く・・・、なんてこと!?」  開いたページだけじゃなく、ほぼ全部のページに染みこんでテキストが黒く塗りつぶされているみたい。まるで都合の悪いところを検閲して見せないようにしているようね。とにかく、唯一の方法が絶たれてしまったわけで、後は・・・そう、神頼みくらいしかない。  あの3人を喰らい尽くして満足して帰って行くとか、召喚のタイムリミットがあるとか、あるいは異変に気づいた退魔師が駆けつけてくるとか。ファンタジー小説じゃないんだから、そんな都合のいい展開になるとは思えないけど、私の力ではもうどうしようもない。少しずつ後ずさりながら、静流や真由子を嬲っている淫魔たちから離れようとする。どこに目がついているのかわからない黒い影のような姿の淫魔には、死角がないのだろうか、そこから離れようとする私を認識したのか、まったく一瞬で私の前にあらわれ覆いかぶさるかのように立ちはだかる。 「・・・っ!」  黒々とした淫魔のペニスが私に迫る。もう顔を背けるくらいしかできることはない。目をぎゅっと閉じ、淫魔のペニスが口の中に入ってくるのか、私自体が飲み込まれてしまうのか、あるいはもっと想像を絶するようなことになるのか・・・。でも、不思議なことに何も起こらない。そっと目を開けると、目の前で、今まさに私を襲おうとした淫魔が、私に触れようとしては見えない何かに弾かれるように後ずさるのが見えた。 「え?・・・これは、いったい?」  いったいどうしたのかしら。防衛術のようなものは特に施していないはず・・・。と、首からかけている銀のファリックチャーム(魔除け)のことを思い出す。 「これかしら。たしかに古代ヨーロッパのお守りみたいなもの、ではあるけど」  ちなみにこのチャーム、勃起した男性器をモチーフにして作られている。この状況にぴったりといえばぴったりよね。  恐る恐る前に出てみる。すると、私が進むと淫魔は後ずさるのだ。  助かった!解決策にはならないけど、しばらくはこれで時間が稼げそうね。  安心すると、少し周りの様子をじっくり観察する余裕も生まれてくる。始めは1体だった淫魔は今見ると5体いるようだ。でも床の影は全てつながっているので、人型の形状そのものがいくらでも増える触手のようなものなのかも。  自分に危害が加わらないと思えば、ちょっと大胆なこともやってみたくなる。まるで淫魔たちが自分の下僕であるかのような錯覚をしながら。 「真由子ちゃん、お元気?ずいぶん楽しそうねぇ」  真由子の方に歩み寄りながら話しかける。真由子、と呼んでみたものの、それはかろうじて人間のようなシルエットをしている、手足と頭のついた風船と言ったほうがよさそうだった。頭の先からつま先まで、ビニールのような皮のような、ツルツルとした光沢を放っている空気人形。すこしくすんだピンク色がなんだかすごくいやらしい。くびれや凹凸を省略されたおもちゃみたいな頭や体なのに、アソコや口のところはオトコを受け入れるための穴がぽっかりと開いているのがすごく滑稽。つまりペニスが入る穴さえついていれば何でもいいんじゃない? 「どうせなら、もっと穴を増やせばいいんじゃない?ほらお腹の真ん中なんて空いてるわよ」  なんとはなしにそう独りごちていると、今まで何もなかった真由子の空気人形のお腹、おヘソのあたりがスッと切れ込みが入ったようになり、次の瞬間には、まぁるい適度な大きさの―もちろんアレを挿入するのに適度な大きさ―穴がポコっとできた。  わっ。これ・・・面白ーい。私の力、ではなくて私が言うことがたまたま呪いの延長として有効になっているのね、きっと。 「お腹の真ん中に性器がついてるなんて、どれだけ変態なのよ。ねえ真由子」  今開いたばかりのおヘソホールに指をいれて遊んでみる。ツルリというかヌルリというかそんな感触。 「ちょっと。聞いているの?こんなマヌケな顔して私をバカにしているつもり?」  真由子の頭は小さなビーチボールみたい。口のところはそのままホールになってぽっかり開いているけど、目はただのプリントのようになって、なんの表情も浮かべていない。空気の詰まったビニールみたいな感触のそれを両手で掴み、そのプリントされた目を指でぐいぐい押してみる。 「ほうら、見えてもないし、痛くもないんでしょう?こんな何の意味もないものをつけていてもしょうがないんじゃなーい?ここもイヤラシい穴になってみる?」  うふふ。さて、どうなるだろう。  間もなく、指で押し付けていた目のプリントがスッと裂け、ピンク色の内壁をもった穴と化した。それは目玉が入っていた穴というよりは、穴の形やヒダっぽいまわりのシワシワのせいで、女性器に見える。つまり、おマンコ。頭の、本来、眼があるべき位置におマンコが横向きに2個並んでいる様子を想像してみてほしい。それはもう、言いようがないくらいグロテスクで卑猥で、そして滑稽。 「あは・・・。あははははは!それ、最高よ、真由子!」  顔のほぼ全面をペニスを入れるホールで占められた卑猥な玩具。そうなった真由子を見て、ちょっと抑制を失ってしまった、私。 「私におちんちんがあったら、その顔の穴、全部につっこんであげるのに、残念だわ」 「もっともっと、あなたの体、穴だらけになればいいのにね。そうね、当然お尻の穴は開いてるべきだし、そう、おヘソがあるなら脇にも開いててもおかしくないわね。それに、両手、両足の先だって使えるでしょう。もちろん女の子だもの、乳首は外せないわ。後は・・・、そうね、眼と口があるのなら耳の穴だっておちんちん入れられるわよね」  もちろん「なればいい」と言うことはすなわちそこがホールに変化するということ。お尻、脇、手、足、乳首、耳にみるみる性器のようなホールができていき、どこにでも挿入できるホールだらけのダッチワイフのできあがり。 「こんなところかしら、ああ、どうせその頭の中身空っぽなんでしょ。じゃあ、ここもおちんちん用に使ってもらいなさいよ」  そう言って頭のてっぺんをギュッと握る。頭頂部にも性器のような穴ができた、脳みその代わりに空気の詰まったこの皮袋は、眼、口、耳にもイヤラシい穴の開いた極めつけの性処理玩具。 「私がここにいては楽しめないわね」 「さ、好きなだけその穴を使って楽しんでね。それだけ穴があったらいったい何Pできるのかしら、見ものだわ」  私がそこを離れると、真由子ダッチワイフの周りを早速、淫魔の黒い影が取り囲む。それなりに人型をしていて股間からペニスのような突起を屹立させているもの、簡略化した棒人間のような手足すら無いもの、ただ触手のようにうねうねとのたうっているものなど様々だ。目的はただ、ペニスを、あるいは触手を、その先端をダッチワイフに開いた穴に挿入すること。その、股間に、お尻に両の乳首に、脇に、手足の先端に、1本のペニスが挿入され、抜かれた途端に別のペニスが挿入され、あるいは2本のペニスが無理やりねじ込まれいびつに変形するダッチワイフの穴。人体なら、折れ、千切れ、潰れてしまうような、ありえないポーズで犯され続けている。おヘソの穴に挿入するために胴体は90度以上ねじり回され、胸は背中にくっつく位のけぞっている。手足は引っ張られ捩じられ折り曲げられ、全てあらぬ方向を向いている。小さな面積に両目、口、両耳、頭頂の穴が開いたダッチワイフの頭部はひっきり無しに全ての穴にペニスが挿入され、その性処理皮袋はいろんな方向から突かれ、引っ張られ、押しつぶされ、ねじ曲げられ、元の形状が分からないくらいにめちゃくちゃに使われ続けている。  ときおり穴の中に射精が行われ、ペニスや触手がびくびくと精液を送り込んでいるのがわかる。やがて中に入りきらなくなった精液が穴の周りから溢れ出し、空気人形のツルツルした表皮の上をドロリを流れ落ちて、さらにイヤラシいテカリを加えていく。  淫魔に弄ばれ、もはや人間の形をとどめていない精液袋にされている真由子を横目に、拘束され、まだ人の形を保ったまま犯され続けている静流に目を向ける。 「静流、あなた、こういうSM趣味があるの?縛られて気持ちよがってるのねえ」  口、というか顔全体を覆うように犯されいる静流から返事はない。 「なによ、シカト?つまんないわね」  私が近づきすぎると淫魔が離れてしまうので、少し距離をおいてその静流が犯されている様子を眺める。黒いロープのような影に全身を縛り上げられ、手足を広げられた姿勢で宙に持ち上げら、下半身は前後から挟まれるように密着している淫魔に犯され、顔は覆いかぶさるように太いペニスが口いっぱいに挿入され、耳の穴にも黒い触手のようなものが伸びている。ふふ、この子、淫魔のペニスに突き上げられるリズムにあわせて自分から腰を振っているわ。ぶってみても所詮は性欲に支配される淫乱な生物ってとこね。でも、話しかけても反応は無いし、ただ腰を振って犯されているだけの木偶の坊なんて、つまんない。 「ねえ、静流。あなたは気持ちいいかもしれないけど、こっちはつまんないわよ。そんな身を任せて犯されるだけなんてオナホールでもできることよ。そうね、あなたはオナホールがお似合いなんだわ。人の皮をかぶったオナホール。そんな皮は脱ぎ捨てて本性をみせてごらんなさいよ」  ふふふふふ。さて、どうなるんだろう。真由子がダッチワイフになったみたいに、等身大のオナホールにでもなるんだろうか。  しばらく何も起きないかのように犯され続けていた静流の体が少しピンク色を帯びてきたかと思ったら、そのまま透き通るように透明になってきた。途端、拘束された隙間からのぞく体がドロリと溶け出し、流れ落ち始めたのには私もビックリした。 「ひゃ!なに?気持ちわるっ!」  ピンク色のゼリー状になった静流の体は、止まること無くどろりどろりと溶け落ちて、やがて全てが溶けて消えた。ように見えたのだけど、淫魔のペニスはまだその場所で何かを犯し続けている。よく見ると、大部分が溶けて流れ落ちた静流の体があったところ、その芯のところに不思議な形のものが残っていて、それを犯しているようだ。ピンク色の光沢をはなつ、性器のように型どられた穴のあいたそれは、あはははは、オナホールに違いない。それが一つだけではなく、いくつも絡みあうように複雑にくっついて、静流のおマンコの先から脳みそのてっぺんまで、オナホールのオブジェのように露出している。 「あはは!ははははは!『静流の半分はオナホでできています』ってところね。これは傑作ね!残りの半分、溶けて消えたのは何だったのかしらねえ」  ピンク色の捻くれた塊になってもなお、犯され続けるのが哀れでもあり、おかしくもあり、傍らで空気と精液のつまった皮袋として犯され続ける真由子との対比が面白い。 「貴方たち、仲よかったんだから一緒にヤラれちゃいなさいよ。静流の方はまだつかってない穴がたくさんあるじゃないのよ」  静流を拘束していた黒いロープ状の淫魔の触手が、オナホールの穴に飛び込んでいき、絡み合っているオナホールそれぞれを引き剥がしていく。もともとツルツルぬるぬるしているオナホールだから、あっという間に静流の芯を形造っていたオナホールはバラバラになり、そのまま、ダッチワイフの真由子に開いた穴へズポっとハメこまれた。ダッチワイフと一体になった無数のオナホールは、ぷっくりとその性器をアピールしながら精液袋の一部と化した。 「やっぱりお似合いだわ、貴方たち。もうずっとそのまま永遠におもちゃになっていなさいよ」  ・・・そうは言うものの、このまま永遠にこんなバカな淫行を眺めつづけてるわけにもいかない。淫魔や、精液やダッチワイフやオナホールになった彼女たちには時間の感覚が無くても、私にはあるのだから、こんな空間に居続けたら精神が参ってしまう。何とか、この呪いを終わらせる方法か、外界に連絡をとる方法は無いものだろうか。私の知る限りの知識を総動員して、手立てを考えようとする。  まずは呪いが成就すること。でも今回は―ズプッ―対象が自分たちだということも知らず―ギュプッ―にかけられた呪いだから、術者が―ズズッ―それを知るすべはない。あるいは、何か―ジュプッ―呪いが無効になる―ビュビュッ―要件がないものか。外界―ズニュッ―との連絡は、この結界を―ズップズップ―作り出している淫魔―ギュュギュュ―次第、ということは・・・ああ、うるさいなぁ。―ズチュッ―呼び出した術者の―パンッパンッ―能力次第。でも―ギュッズッ―あの3人が作り出したとは―ズッチュ―思えないくらい―ズプッズプッ―強力に閉じられているのはなぜ?いずれに―ズプッ―しても―ズプッ―あの―ズプッ―本―ズプッ―が失われたのは―ズビューッ―痛い―ビチャッ―わね・・・。  って、うるさいのよ!!考えがまとまらないじゃない!無数の淫魔のペニスと触手がダッチワイフとオナホールを犯し、中に外に射精する音がうるさくて集中して考えることができない。というかこの空間に存在する音源は私を除けばそれだけだ。  つかつかと犯されているおもちゃ―真由子と静流でできた精液袋―の所へ歩いて行き、それを見降ろす。淫魔たちは私が近づくとするりと避けていく。首にかけている魔除けの効果だ。 「こっの汚らしい肉塊の分際で!ふん、肉ですら無いわね、皮とぶよぶよした油かしら?」 「誰のせいでこんなに苦労してると思ってるのよ!え!?まったく!」  そう言って、足もとにクタリと転がるダッチワイフの頭部を思いっきり踏みつける。  ブピュッ!  それは破裂するわけでもなく、適度な弾力を反しつつペシャッと平たくなる。 「あっ・・・!汚ったないわね!」  潰れたダッチワイフの頭部の中に詰まっていた精液が水鉄砲のように飛び出し、私の顔にかかった。手で拭おうとして、ためらい、ハンカチを取り出して拭った。その数秒の時間が致命的だった。私の顔から流れ落ちた精液は首筋に垂れ落ち、首からかけていた銀の魔除けに付着した。精液がついた魔除けは、その付着した部分から見る見る黒く腐食し溶け出した。ほんの数瞬で原形を留めないくらいに溶けて、黒い塊になってしまった魔除け。この精液は、呪いの本もそうだったように、この空間の維持に敵対的なものには酸性毒のようにふるまうのだった。もはや、この魔除けは効力を失ってしまったに違いない。ということは、私の唯一の命綱が切れてしまったということ。 「・・・っ!くそっ!くそっ!なんてことを!!」  およそ乙女にあるまじき言葉を毒づきながら、そこから後ずさる。周りに淫魔の姿は・・・ない!?その瞬間、背中が何かに行き当たる。振り向くとそこには私を見降ろすほど大きな淫魔の影。こんな奴に犯されてたまるものか!しかし、逃げようとする私の両肩はがっしり押さえつけられて全く身動きできない。迫ってくる気配に上を見上げると、そこには淫魔の人型の頭の部分が大きく、大きく口を開けている。ひっ!私が言葉を発するより早く、その口が私の頭を飲み込んだ。何をする気!?歯も舌も無い淫魔の口に頭を飲み込まれた私は、そのまま両脇から掴まれて逆さまに持ち上げられた。ちょ、ちょ、ちょっと何なの!?そして、口から体内へズルリと体全体を飲み込まれてしまった。  ま、まさか、そんな、ひょっとして!?違う!あれは呪いのワードなんかじゃない!そんなものになんてなりたくない!!  淫魔の体の中に飲み込まれた私は、真っ黒い内壁のようなものにぴったり貼りつかれて、身動きも声を出すことも何もできない。真っ暗な密閉された中に逆さまに閉じ込められているはずなのに、ちっとも苦しくないし呼吸もできる、それどころかだんだん気持ちよくなってきて・・・と思うころには私の性器やおしりの穴、口の穴に何かが既に入ってきていた。膣いっぱい、肛門いっぱい、喉いっぱいに侵入しているその異物は、苦しさではなく、私が溶けて吸い取られていくような不思議な気持良さで、私を満たしていくのだった。やがて、体の表面すべてから私の中身が吸い取られ、どんどん体が小さく圧縮されていくような感じになりながら、私の意識は消えていった。  もし、私の最期の様子を、外部から客観的に観ているものがいたら、きっとこう記述するだろう。  布由を頭から逆さまに飲み込んだ淫魔はその飲み込んだ布由の形がくっきりと浮き出るような黒い人型の影となった。だが、間もなくその膨らみは緩やかに小さくなり、何も入っていなかったかのように平らになった。しかし、そこに布由が飲み込まれていたという証しはすぐに別の形であらわれた。布由を飲み込んで膨らんでいたその反対側のちょっと下のところ、要は人間ならばお尻があるであろう場所がプクっと小さく膨らみ、その中心に小さな穴が開いた。穴の中からは茶色い塊が少し顔をだす。まさに今飲み込み、消化したものを排泄しようというのだろう。いささか早すぎるが、これは消化、吸収、排泄という形式をなぞってマネしているだけのこと、スピード自体は問題じゃないに違いない。これが排泄という行為なら、その肛門を押し開きならがら、少しずつひり出されてくる茶色い排泄物は全ての養分を吸い取られ、ただの搾りかすになってしまった布由のなれの果てだ。一切の混じりけなしに100%、布由でできた大便。つまり、くそ。  肛門が大きく開き、にゅるっと大便の頭が出てくる。頭から飲み込まれた布由がそのまま送り出されて来たのなら、まさにそれは布由の頭でできた糞だ。でもそこに布由の面影はない。一切合切を吸い取られ、不要になったカスをぎゅうぎゅうに圧縮してできた、茶色の固形物でしかない。肛門からひり出された、大便にされた布由は床にべチョリと頭をつき、引き続き排泄されてくる体の部分がとぐろを巻くように落ちてくる。排泄はあっけなく終わり、床には長く、そして太い一本の大便が歪んだ円をえがくように残された。それは、これまでの生の全て、体だけでなく、知識も経験も夢も希望もすべて吸い取られ奪われて、残った布由の搾りかす。でもそれが布由であったことなど何一つ示すもののない、ただの糞。  排便が終わった淫魔はくるりと向き直り、その股間に屹立したペニスを床の大便に向ける。そして間もなく、そのペニスから大量の精液がビュルリと大便に向けて射精された。大便にかけられた白いドロリとした液体は、たった今吸収された布由から作られた精液、彼女の存在そのものを全て濃縮してつくられたザーメンエキス。大便にされた搾りかすの布由は、精液にされた自分自身で犯され汚されてしまい、精液にされた彼女は、何の意味もなくただの糞に射精されてその役目を終えた。  呪いの無限ループはこれで終了し、結界が解かれ淫魔が去った部屋の中には、グシャグシャに使い回され、精液の溢れでたオナホールをいたるところにはめこまれた卑猥なダッチワイフと、濃厚な精液がかけられた一本の大きく長い大便だけが残された。 「なんでこんな結末になるのよ!ああっもう、くそっ!」  ・・・ああ、また「くそ」って言っちゃったわ。なんてことかしらね。